健康体力研究所

トレーニングガイド vol.210

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トップアスリートによるビギナーのためのベーシックトレーニング Vol.28

背部の解剖学とトレーニング

スタイルを意識したトレーニングのゴールは逆三角形でしょう。それをかたちづくる代表的な筋肉は広背筋です。しかし背部には多くの筋が存在します。今回はそれらの筋肉を解剖学的にみて、表層部の筋肉のトレーニングに焦点をあててみていきましょう。

脊柱起立筋は腸肋筋、最長筋、棘筋の総称で、それに加えて横突棘筋、板状筋、棘間筋があり部位によってさらに分類されることもあります。脊柱起立筋は骨盤が後傾しているとき、付着部が下方に引っ張られることにより、効率よく機能します。上記の筋は正しい姿勢の維持には重要な筋ですが、直立の姿勢を保っているだけでは負荷が小さすぎて、発達は望めません。トレーニングのためには、重力に逆らって体幹を伸展させるバックエクステンションのような種目が必要です。もちろん、デッドリフトでも鍛えられます。

 

広背筋の機能とエクササイズ

背部の表層の筋で特に大きな筋肉は僧帽筋と広背筋です。

広背筋は肩関節の伸展、内転、内旋に関与します。起始は腸骨稜後面、仙骨後面、第5|7腰椎棘突起と第10‌|‌12肋骨で、停止は上腕骨の小結節稜です。チンアップやロープクライミングはもっとも有効なエクササイズです。しかし、どちらも回数ができるかどうか、上体だけでどのくらいの距離を登れるかは、自分の体重によるところが大きいのも事実です。そこで初歩の基本トレーニングは、ラットプルダウンとなるでしょう。上腕二頭筋で引いているときは肩が上がっていることが多いです。したがって、肩を上げずに肩甲骨を動かして、広背筋をしっかり意識して行うようにしましょう。このエクササイズで、広背筋を発達させて、反動を使わずにチンアップができるようにするとよいでしょう。施設によってはアシスト負荷が付いているチンアップマシンもあります。その場合には、ラットプルダウンと同じように負荷を調整して、まずは広背筋を意識できるフォームを保ちながら徐々になれていってください。ベントオーバーローイング、シーテッドローイング等のローイング系のエクササイズも有効です。ベントオーバーローイングは、腰部への負担も大きくなるので、デッドリフトも実施している場合には、腰部への過度な負担を避けるため、頻度や負荷などのプログラムを工夫する必要があります。

 

僧帽筋の機能とエクササイズ

僧帽筋は上から上部、中部、下部に分けられ、中部が最も大きく強力です。僧帽筋は重いものを持つときに、肩甲骨が下方へもっていかれるのを防ぐ働きと、三角筋の働きを助け、肩甲骨を安定させる働きがあります。僧帽筋のトレーニングとしてはショルダーシュラッグが有効です。ダンベルでもバーベルでも行うことができますが、比較的高重量を扱うことが可能な種目ですので、バーベルの方が負荷をかけやすいと思います。また持続的な握力が必要ですので、握力がシュラッグを実施するときの制限因子になる場合は、ストラップ等を使用するといいでしょう。

僧帽筋の中部や下部は、先ほど紹介した広背筋の種目でもあるベントオーバーローイングが有効です。またベントオーバーラテラルレイズでも中部や下部を集中して鍛えることができます。ただし、腕ではなく、僧帽筋をしっかり意識して、その意識が保てるフォームを維持することが重要です。

 

ベーシックトレーニング著者写真

中井敬子(なかいけいこ)

●東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了/健康運動指導士/
2010年世界パワーリフティング選手権大会女子52kg級 8位

 

 

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