健康体力研究所

トレーニングガイド vol.211

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トップアスリートによるビギナーのためのベーシックトレーニング Vol.29

上肢の解剖学とトレーニング

上肢の代表的な筋は、上腕三頭筋と上腕二頭筋でしょう。上腕三頭筋は、上腕の伸筋群の一つで、名前のとおり、長頭、短頭と呼ばれる内側頭および外側頭の3つの頭を持ちます。上腕の後面は、ほぼ上腕三頭筋で占められています。長頭は肩関節と肘関節をまたぐ2関節筋であるのに対し、内側頭と外側頭は肘の伸展のみに関与する単関節筋です。長頭は肩甲骨の関節下結節から起こり、尺骨の肘頭に停止します。肩関節伸展や内転の動作にも関与します。内側頭は上腕骨中部の後内面から、外側頭は上腕骨近位の後外面から起こり、肘頭に停止します。したがって、肩関節の伸展・屈曲により長頭をターゲットにトレーニングするのか、短頭(内側頭、外側頭)に集中して負荷をかけるのかを変化させることができます。しかし、短頭の内側頭と外側頭を分けてトレーニングするのは不可能に近いです。
肩関節を屈曲させた状態で行う肘伸展動作では、上腕三頭筋長頭がストレッチされたポジションにあるので、十分に肘伸展動作に関与することができます。具体的なトレーニングとしては次のとおりです。

 

ライイング・トライセプス・エクステンション

フラットなベンチ台の上に仰向けになり、EZバーを狭く握り、肩の真上にバーを構えます。そこから肘の位置を動かさないようにして、頭上に向かってゆっくりおろし、再び肘を動かさないようにして元の位置に戻します。肘が開かないようにして、また肘の位置が動かないように気を付けることで、上腕三頭筋をより意識できるようになります。
EZバーではなく、ストレートバーでも実施することができます。多少効く感覚が異なりますので、両方試してみたり、半年ごとに替えたりすると良いでしょう。一般的にはEZバーの方が手首への負担が少ないため、好まれる方が多いようです

 

プルオーバー

これは、上腕三頭筋長頭と広背筋がメインに鍛えられる種目です。ベンチ台にクロスするように横になり、ダンベルの肩側のプレートを両手で支えます。スタートのポジションはトライセプス・エクステンションと同じで、肩の真上が良いでしょう。肘をわずかにゆるめて、それを保ったまま、上腕が床と平行になるくらいまでダンベルをおろし、スタートポジションまで戻す動作を繰り返します。
肩関節を伸展させた状態で行う肘伸展動作では、上腕三頭筋長頭が力を発揮しづらいポジションにあるので、短頭が主に肘伸展動作に関与します。具体的なトレーニング種目としては次のとおりです。

 

キックバック

ベンチ台に片手をつき、ベントオーバーの姿勢をつくります。片手にダンベルを持ち、肘を体側の高さに保ちつつ、体側には触れないようにします。肘の屈曲位から最大伸展位まで伸展させます。反動で繰り返さないように、ゆっくりスタートポジションに戻すようにすること、最大伸展位で少し停止するように心がけると良いでしょう。また、ベントオーバーの姿勢が崩れ、上体が起きてきてしまうと、重力の関係で、上腕三頭筋にはまったく負荷がかからなくなってしまうので、姿勢にも注意が必要です。

 

リバースプッシュアップ

これはダンベルやマシンなどの器具がなくても、自分の体重を負荷にして実施することができる種目です。ベンチ台(いすなどで代用可能)に座り、両手をつきます。足を前方に投げ出し、臀部を前方にずらします。そのまま臀部が床につくくらいまで、肘を曲げて沈み込みます。そのあと肘伸展のポジションまで戻します。このときも肘が外側に広がらないように気をつけましょう。また足の位置は、上腕三頭筋がいちばん意識しやすい位置に調整しましょう。

 

ナローグリップ・ベンチプレス

これは通常のベンチプレスよりも狭いグリップ幅で握り、肘をできるだけ絞って行うようにするものです。ボトムで手首への負担も大きいので、サムレスグリップで行っても良いでしょう。

 

ショルダープレス

これは肩(三角筋)のエクササイズとして考えられていますが、実際には、肘の伸展動作も同時に行っています。三頭筋を意識して行えば、効果も得られます。

 

ベーシックトレーニング著者写真

中井敬子(なかいけいこ)

●東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了/健康運動指導士/
2010年世界パワーリフティング選手権大会女子52kg級 8位

 

 

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