ブックタイトルKentaiNEWSvol222

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概要

KentaiNEWSvol222

09バズーカ岡田の筋肉学があるのですが、おそらく私にはウェイトトレーニング=運動至上主義的な印象が強くあるのでしょう。まあ「骨格筋専門家」ゆえ、それも仕方がないことなのかなとは思うのですが……。もちろん運動は大切ですし、多くの人にその素晴らしさや楽しさを伝えていきたいという想いも常にあります。しかし、筋肉に発達をもたらすべく試行錯誤しながらトレーニングにいそしんだとしても、それはティッシュペーパーのような薄紙を一枚一枚積み重ねていくような行為であり、例えば1ヶ月間、限界まで追い込んだからといってトップビルダーのような肉体になれるのかといえば、なれません。ところが、食事にかなり厳しく制限をかけた状態で同じく1ヶ月を過ごしてみると、どうでしょう。それがボディビル的にいいカラダか否かはさておき、見た目は確実に変わります。1ヶ月を過ごさなくとも、1週間でも変化を感じられることもあるでしょう。体脂肪でなくむくみの違いであれば、数日間で実感できると思います。ボディビルダーたちのオン・オフの違いもいい例だと思います。彼らがオンとオフとで何を変えているのかというと、食事です。1日のカロリーを段階に応じて制限し、さらに栄養面での内訳やタイミングをコントロールしながら、本番当日に向けて減量を進めていきます。反対に、減量期に入ったことを理由に日々のトレーニング内容を大きく変えるという人に、私は今のところ出会ったことはありません。続かない食事制限は、意味をなさない彼らがコンテストのスケジュールを軸に人生をオンとオフとで二分しているのには、いくつかの理由がありますが、そのなかの1つに「厳しすぎる節制を、長い期間続けることは難しいから」というものがあります。私の場合をお話しすると、食事から楽しみという要素を剥ぎ取ること自体は、そこまで苦痛に感じないタイプです。1日3回の「ごはん」ではなく「栄養補給」と思考を切り替えて、その時の自分に必要なものを必要な分だけ摂取する。日本選手権で勝ち上がることを目標としていた2017年のシーズンは、1年近くそのような生活を送っていました。強い我慢やストレスはほとんどなく、むしろ食材そのものの味わいを楽しめるようになり、余談ではありますが、コンテスト後も必要以上の味付け=脂肪・糖分・塩分をあまり望まなくなりました。その点において生活習慣が変わった、とも言えるかもしれません。とはいえ、それをこれからの人生においてコンテスト出場する/しないにかかわらず、ずっと続けていけるのかというと、いずれしんどさを感じるときがくるのではないかと思います。明確な目的達成に向けて、期間が限定されているチャレンジだからこそ、人は多少の無理を押してでも頑張れるもの。ボディメイクの観点からいっても、厳しく節制している状態が長期間続くと、カラダはそれを通常の状態と認識して、それ以上の変化をもたらすことがどんどん難しくなっていきます。それに、いくらコンテストビルダー人口が少なくないとはいえ、それ以外の人口のほうが当然ながら圧倒的に多く、そういった方々がボディメイクを志したときの策として考えた場合でも「厳しすぎる節制を、長い期間続けることは難しい」という点に尽きるのです。大切なのは「できるだけ長く続ける」ことでは、何をしたらいいのか。答えは簡単。食材を活かしたバランスのよい食事を心がけた生活を、できるだけ長く続けていく。それだけのことなのです。お昼時、鶏肉メインの弁当を持参することもありますが、おにぎりやそばを食べることがあります。すると「そういうものも食べるんですね!」と驚きに満ちた声をかけられます。「炭水化物をとって、大丈夫なのですか?」と聞かれることも頻繁です。昨今のブームの影響なのでしょうか。どうも糖質を(脂質も)悪者扱いし、タンパク質をあがめるような傾向が続いているように感じています。タンパク質をあがめてしまう気持ちはわからないでもないですが、糖質だって脂質だってカラダにとってエネルギーや部品となる大切な栄養素です。だから、要は「バランス」なのです。日本人の食卓は、炭水化物が主役になりがちで、かつタンパク質が不足しがち。その上、現代社会には美味しいものが溢れています。美味しく味付けられたタレや、作り込まれたソースには糖質や脂質、そして塩分がたくさん入っていることがほとんどです。何も気にせず食べたいものばかりに手を伸ばしていると炭水化物や脂質、塩分過多になってしまいます。そのことを認識した上で「タンパク質を多めにしよう」「大盛りご飯を普通盛りにしよう」「白米を玄米に変えよう」「同じパンなら全粒粉を選ぼう」「揚げ物は避けよう」「サラダのドレッシングを別添えにしよう」などなど、すぐにできる工夫をしていくこと。それを1食ごとだけでなく、1日あるいは1週間、1ヶ月といったスパンでもバランスを見ていくのです。それくらいならできる、と思いませんか?何も苦しいことを率先してやる必要はなく、ラクにできることを続けていけばいいのです。ラクにできるということは、生涯を通じて続けられるということ。その先にあるのは、余分な体脂肪のつきにくいライフスタイル。いつもいいカラダをしている人は、そんなにストイックな生活をしているわけではありません。他より少しいい食習慣が身についている人が多いです。気負わずに、そして奇をてらわずに、楽しみながらバランスのいいカラダを作っていきましょう。