ブックタイトルKentaiNEWSvol223

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概要

KentaiNEWSvol223

【脾臓】脾液炭水化物、タンパク質、脂肪を分解する【小腸】小腸液炭水化物、タンパク質を分解する【胃】胃液タンパク質を分解する【胆のう】胆液脂肪の吸収を助ける【口】唾液炭水化物を分解する咀嚼して食べ物を粉々にする食物咀嚼脳神経・ホルモン系全身機能消化・吸収減少グレリン増大GLP-1 PYYコレシストキニン筋肉のさらなる成長!07バズーカ岡田の筋肉学消化吸収とは「筋肉を成長させる大切なプロセス」である大前提として「消化吸収」とは、食べ物が十分に消化され、含まれていた栄養素が体内に吸収されるまでの一連の流れを指します。消化が行われるのは体外(=口から小腸)で、そこで消化されたものが体内に入り、血液の流れに乗ることを吸収と表現しています。吸収された栄養素は、そのまま血流に乗って全身へと運ばれていきます。「全身」とくくったなかには、カラダにおける重要な組織のひとつであり、私たちが愛する筋肉も含まれます。つまり消化吸収とは、食事を通して取り込んだ栄養素を、筋肉に送り届けてさらなる成長を促すための大切なプロセスというわけなのです。消化の第一歩は、咀そしゃく嚼です。咀嚼が担う役割は、口より先に固形物を送り込むためにサイズダウンするだけではありません。食べ物を小さく砕くことで表面積を増やし、唾液や胃腸のなかにある消化酵素と混ざり合いやすくして、消化酵素の効果を最大化するためでもあるのです。噛み砕くという物理的な消化から消化酵素の働きによる化学的な消化へとステージをうつす、そのようなイメージでいいと思います。口内で消化が始まるものの代表は、米=デンプンです。デンプンは唾液中に含まれるアミラーゼで加水分解されて、マルトースへと姿を変える。いろいろと話題にのぼりがちな糖質は、咀嚼をよくすることで消化の第一歩を踏んでいるわけですね。もっとも身近な「咀嚼」という行為に秘められたパワー噛む行為を繰り返し行うことで、口内はたくさんの刺激であふれます。その刺激が神経に作用し、摂食亢進ホルモン「グレリン」が減少し、反対に摂食抑制ホルモン「GLP-1」「PYY」「コレシストキニン」が増大すると言われています。「噛む」ことで、自分自身の食事量をモニタリングすることができるようになっていると言えますね。食べるときには、咀嚼をする。あまりにも日常的すぎて、きちんと目を向けたことはないという人がほとんどでしょう。でも、こうして皆さんに改めてお伝えしようと思えるくらい、よりよい消化吸収のためにおろそかにはできない重要なステップなのです。とはいえ、咀嚼はもはや生活習慣です。善し悪しは別としても、長い時間をかけて今のスタイルに行き着いているわけですから、変えることは容易ではありません。それでも意識を向けつづけることで、少しずつでも改善していくことはできます。実は、私もかなりの早食いで……。(遅食いでは生き残れないというわけのわからない言い訳をして逃げてきました…)でも、咀嚼と消化吸収との重要な関係性に気づいてからは、とにかく噛むことに重きを置くようにしています。同じものを食べてもよく噛んだほうが、痩せやすくなる食べた後に、体温の高まりを感じることがあると思います。このように、食べた後にはエネルギー消費が増えるのですが、これを特異動的作用、あるいは食事誘発性熱産生と言います。たくさん噛むことによってこのエネルギー消費が増えたとする研究結果があります。たくさん咀嚼するよう留意したグループと留意しないグループとに分けて実験をした結果、たくさん咀嚼することに留意したグループのほうが食後の特異動的作用(食事誘発性熱産生)が高まったというデータが出ているのです。これは噛むことによる口内の刺激が交感神経に伝わって、褐色脂肪細胞のエネルギー消費を促すためと考えられています。ここからは私の予測ではありますが、おそらく噛むという刺激が、カラダにとっては「エネルギーが入ってきている」という情報に近いのでしょう。だから、カラダは熱を出して、様々な生理機能を活性化しようとする。平たくいえば、同じものを食べてもよく噛んだほうが、痩せやすくなるということです。どれくらいのものかというと、1日3食すべての食事で「よく噛む」を1年間、継続して実践すると1万6425k cal=おおよそ体脂肪2kg分を消費するという具体的な数値に落とし込んだ試算もあります(濱田・林、2016)。1年間で2kgなら減量幅6kgの私は、今から3年間よく噛み続ければ勝手に仕上るという計算ですね。消化酵素の効果を最大化する、口内で消化を始める、食べ過ぎを抑制する、特異動的作用を高める。咀嚼が秘めたるパワー、皆さんの想像以上だったのではないでしょうか。というわけで、バズーカ岡田の「咀嚼3カ年計画」の始まりをお知らせして、今回は締めたいと思います。