ブックタイトルKentaiNEWSvol224

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概要

KentaiNEWSvol224

高重量のベンチプレスの合間には「プロテインシェイク」で一息つく山本選手「キャラメル風味がとても美味しいです!」と、さらに記録も伸びそうだ!皆先生』という気持ちで学ぶこと、そして向上心を忘れずに、今後も取り組んで行きたいと思っています。 インタビュー中、ベンチの試技の話になると、あたかもこれから試技をするかの如く、シャフトを構えた位置からグッと力が入って、意識の中では太もも付け根の辺りへ降ろして行く様は、まるで170㎏のバーベルと対峙しているかの如く力の入る山本氏でした。 2016年には脊椎管狭窄症でノーギアで70㎏、スーツ着用でも110㎏程度まで重量が落ちたこともあったそうです。そういった困難をも乗り越えられたのは「ベンチ愛」の強さ故なのでしょうか。「ベンチプレスを知らなかった人」がここまでのめり込んでしまうベンチプレスの奥深さを知った一日でした。「人・もの・皆先生」という「学ぶ力」そして向上心を忘れずに取り組む姿勢にこそ「元気の源」があるように感じました。ありがとうございました!こうと考えたんですね。Y 僕は『人・もの・皆先生』だと常々思っているんです。後輩でも子供でも、あるいは動物の動きや神社のたたずまいでも先生であると。自分が『皆先生』だと思って学ぶ姿勢を忘れなければ、常に何からでも学ぶことが出来る。だから僕は大会会場でも色々な人によく質問をしますよ。M 常に学び続けるということですね。山本さんはベンチをはじめられてから、比較的短期間でかなりの重量を扱うようになり、最下位になった翌年には102・5㎏で優勝、その後も着実に記録を伸ばしていますが、その原動力はなんですか?Y ありきたりかも知れませんが『目的意識』などではないでしょうか。僕は最初のジムで『70㎏挙げたら大会に出よう!』と言われて、その後で『100㎏挙げたら認めるよ!』と言われ、それに対して『やってやる!』という気持ちになりました。そして、そのためにはどうしたらいいかをじっくりと考え『ベンチの強い人』の研究をするべきだと考えました。はじめたばかりの頃は当然、大胸筋と三頭筋、肩で挙げると思ってそこに力が入っていました。でも今は『ベンチは背中と脚で挙げるもの』という風に意識が変わって来ています。バーベルをラックから外してもらったら大円筋、肩甲骨を下げていって、地面をしっかりと支える土台である脚の付け根辺りに降ろして人から『ちょっとやってみなよ』と声を掛けてもらったのが始まりでした。M 何気ないきっかけだったんですね。そのときはどのくらいでベンチしたんですか?Y 確か60㎏だったと思います。グラグラしながらなんとか挙がったように記憶していますが、無理して肩を痛くしましたね!そもそも、僕はそれまで『ベンチプレス』というものを知らなかったんですよ!M 世界チャンピオンである山本さんが『ベンチプレス』を知らなかったんですか! それにしても、いきなり60㎏をやらせる方もなんですが、挙げた山本さんもやはり素質があったんでしょうね。その後どうなりましたか?Y 30㎏で練習し始めて、重量が上げられるようになり非常に楽しくなりました。そしたら、ベンチの先輩が『70㎏挙げられるようになったら大会に出よう!』と言ってくれて、大会に向けて頑張るようになりました。M 何もすることがないから出掛けたジムで、やるべきことが見つかったんですね。大会へはいつ出場されたんですか?Y ベンチに出会ったのが2007年の3月で、その半年後、64歳で大会に初出場しました。77・5㎏を挙げましたがクラス最下位でした。とても悔しかったですね。ベンチの大会では、バーベルを挙げることも大事ですが、足の裏が完全に床に着いていないといけないとか、お尻がベンチから離れてはいけないとか、色々と細かいルールがあるんですよ。でもこれでやる気に火がつきました!もっとベンチの技術を研究しないといけないと思ってベンチプレス世界王者のビデオを買ったり、ベンチプレス講習会にも出掛けたりしましたね。M ベンチプレスで重量を挙げるための技術を磨行く、という意識でやっています。M ただ闇雲にバーベルを押し挙げるわけではないんですね。山本さんは75歳になられますが食事などはどのようにされていますか?Y 玄米と野菜を中心としたものです。肉類は鶏肉と豚肉、魚や牛肉も食べますが、毎日ではないですね。クエン酸は年間を通じて、そして試合の2ヶ月前からはKentaiのクレアチン ALKも摂っています。上を目指して頑張れるものM ベンチプレスの魅力と今後の目標について聞かせて下さい。Y 人間って昔から『荷車を押す』とか『網を引く』とかそういう作業していましたよね。ウェイトトレーニングって、その生活に密着した基本的な動きの延長だと思うんですよ。ベンチプレスはそんな中でも非常に取っつきやすい種目だと思います。重さにはこだわらなくて自分の出来るもので良いんです。何もすることがなかった退職後の僕に『まだ自分でも上を目指して頑張れるものがあるんだ!』と教えてくれたのがベンチプレスです。そんな僕の『今後の目標』はズバリ175㎏です。『170㎏挙げたから!』『世界記録だから!』って思ったら、そこで終わりです。『禍福はあざなえる縄の如し』と言いますが、世界記録を出そうが優勝しようが決しておごらず、また調子が悪い時も決して諦めないことです。僕も怪我を経験しています。そういうときには、ふさぎ込まずに『今は別のところを鍛えるチャンスだ』という風に考えるようにしています。人生長く生きていれば、良い時もあるし、また悪い時もあります。一喜一憂しないことです。『人・もの・●岡部みつる(文・写真)東京都出身20歳過ぎでボディビルに出合い池袋にあるジムへ通う。昭和の終焉に「本場でトレーニングしたい」と決意し渡米。20年間アメリカで暮らす。在米中はリポーター、そして写真家として活躍、93年にはマスキュラーデベロップメント誌のチーフ・フォトグラファーとして年間契約。96年から始めたビデオ「オリンピアへの道」は選手から「大会自体よりもこのビデオに出たい!」と評判に。2008年に帰国し現在は静岡県内の山中に暮らす。1992年Mr.ロサンゼルス・ライト級優勝。 元気の源「することが何もなくてはじめたベンチプレス」で、8年で世界記録を出して世界チャンピオンに輝き、その後4連覇しているのは「研究と努力の賜物」だろう。09