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概要

KentaiNEWSvol225

07バズーカ岡田の筋肉学そうそうないということ。一見、無意味だと思われることであっても常人には考えられないくらいの数を繰り返すことで道がひらけて「1」や「2」もしかしたら「10」とか「20」の効果が生まれるかもしれない。地道に積み重ねていけば、いつかは必ず「100」にたどり着く。たどり着かないのは、到達する前に諦めてしまうから。もちろん効果がより高いと思われるものを選んで、短い時間で効果を出すほうが効率的です。しかし、効率を求めるだけがボディメイクではありませんよね。本質的なカラダづくりに、スピード感を求める必要はないはずです。成功する筋トレには「ステップ」があるこのような経験を通じて「筋肉を鍛える」ということを、いくつかの要素に分けて考えるようになりました。ボディビル競技に挑戦をしてもしなくても「いいカラダを目指す」以上は、必ず筋肉を大きくするという方向を向く、つまりは筋肥大を目指すことになります。筋トレのファーストステップと言えるでしょう。ここで、まず知っておくべきことは「筋肥大が指す現象とは何なのか」ということです。一旦、整理をしておきましょう。筋肥大の実状は、大きく3つのパートに分けることができると考えられます。パート1は、筋肉のなかで力を発揮するタンパク質である「収縮タンパク」が太く、数を増やすことで起こる筋原繊維の肥大、および増加。パート2は、筋肉が収縮・弛緩する際に使われるエネルギーを供給することや脳からの信号を伝達する役割を担う細胞小器官(ミトコンドリアや筋小胞体など)が増加する筋形質肥大。パート3は、筋肉と骨とを硬くつなぐ腱、および筋肉を包む筋膜の肥大(肥厚)です。筋肉を大きくすることの実態がわかったところで、次に進みます。ボディメイクというものは、筋肉をただ大きくすれば叶えられるものではありません。全身を見たときに、筋肉一つ一つの大きさ(サイズ)から作り出されるカラダ全体のバランスが大切です。これが筋トレのセカンドステップ。さらに一つ一つの筋肉の形(シェイプ)のバランスも重要です。一つの筋肉のなかで、どの部位、どの筋線維を「狙いうち」して大きく育てていくのか、というものです。セカンド、サードステップ共に、筋肥大のコントロールと言えます。ファーストステップにあたる全体の筋肥大とは、いわゆるバルクアップ。とにかくざっくり大きくなります。セカンドステップに関しても、部位別で見ていけばバルクアップになるのですが、俯瞰して見たときに筋肉のつき方のバランスが変わって良く見えるようになることです。そして最後、サードステップで得られる変化としては、細かなパーツのバランスまで変わって、さらによく見える。よく作り込まれて見えます。これらは大きくなるというよりも「シェイプが変わる」ということです。このシェイプを変えるアプローチは、もはや彫刻であります。私自身という作品の提出期限は、もはや「寿命」であると私は考えております。完成を見ずに終わることも予想できますね。うまくできないのなら「やり込む」冒頭、20年以上トレーニングをしてきて「限界が近いのでは」と書いたのを、もう少し詳しく解説すると「ボディメイクの基礎であるファーストステップとセカンドステップの部分で大きな変化を求めるのは、そろそろ難しくなってきたと感じる」という意味です。それでもボディビル競技に挑むにあたり、常にカラダを進化させることができているのは、サードステップに対する取り組みを日夜研究し、実践し続けているから。もちろん私だけに限らず、特に日本選手権で戦うようなトップクラスのボディビルダーたちが、何年選手であっても毎年、何かしらの進化を遂げてステージに上がってくるのは、サードステップを追求しているからこそです。逆に言うと、毎年同じような仕上がりで、特に変化のないカラダのままステージに立ち続けているボディビルダーもいるわけで……。そういった方々はすでに伸びしろを開拓し切ったことを繰り返すことに終始している。「自分の限界はここ」と諦めてしまったのかもしれません。つまり、サードステップの追求を怠っているという見方をせざるを得ません。違う動きをしなければ、違う筋肉の形、それらが作り出す違うカラダにはなれないのです。非常にもったいないことだと私は思います。せっかくトレーニングに勤しむのだから、まだ残っている可能性に1レップ1レップをかけてほしい。かけることで、必ずカラダは変わっていくのだから、という想いで今回のK entaiN EW Sをしたためた次第です。先ほどの話で「効かない」と思うことでも、ひたすらに繰り返して効果を引き出すというのは、まさにサードステップにおける取り組みのひとつです。これまで使えていなかった筋線維を使うわけですから効かすのが難しい、けれども伸びしろはある。ハッキリ言って「効かない」と心のなかで思っていることを、続けることはシンドイです。でも、続けていれば必ず「効かせ方」がわかるようになります。そこは、諦めないでいただきたい。頭のなかに必ず置いておいてほしいのは「発達しない筋繊維などない」ということ。どんなにトレーニングをしてもカラダが変わらないのは、それを実現する動きがいまの自分にはできていないということを理解して「うまくできないのなら、やり込んで覚えるしかない」「効くまで帰らない」という新たな思考回路を作ったところで、今回のコラムはここまでとしたいと思います。