ブックタイトルKentaiNEWSvol226

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概要

KentaiNEWSvol226

07バズーカ岡田の筋肉学いると思います。コンテストには出場していないけれど、思うようないいカラダになっていかないことに辟易している、という方もいるでしょう。お尋ねします。ただ重いものをたくさん挙げればいい、と考えてはいませんか?カラダをデカくさえすれば強くなれる、と考えてはいないでしょうか。実はそこに、勝てるカラダと勝てないカラダの差、そしていいカラダとそこそこのカラダの差が生まれてくるのです。重量や回数といった「量」ばかりを優先した思考は、一旦、横においておきましょう。トレーニングとは、その一瞬一瞬を感じながら、考えて行うものなのです。人間力まで進化する、受け入れの思考あれこれ書きましたが、ひと言で言ってしまうと、自分のカラダを俯瞰で見るクセをつけましょうということ。腕の太さばかりを求めるのは、木ばかりを見て森を見ていないことになります。このクセづけは、かなりの武器になりますよ。磨けば磨くほどバランスが整い、ものすごくデカい選手であっても倒す威力を手に入れることができるのですから。現に、日本チャンピオンに君臨する鈴木雅選手が9連覇という結果をもって体現していますよね。2010年に初めて日本チャンピオンになったときも十分に素晴らしいカラダでしたが、よりデカくしていこうとするのと同じくらいの熱度で調和を追求し続けているからこそ、目に見える進化を遂げ、10年目を迎えようとしています。世界選手権で海外のモンスターたちを倒して優勝したことも衝撃的でしたね。昨今、ボディビルの大会数が増え、競技者もかなり増えてきました。教え子たちが参戦する大会には可能な限り足を運ぶようにしているのですが、このところ審査結果に異を唱えるような声を耳にすることも増えているように感じます。大半が「あんなに細いのに、なんで優勝なんだ」とか「○番のほうがデカいじゃないか」と言った内容です。いいカラダの基準は、人それぞれです。どのようなカラダを美しいと思うかは、個人差があって当然です。ただ、大会審査の「美の基準」は「調和」にあるという見方をしたら……どうでしょうか。細い、太い、デカい、小さいというのは決め手に欠けるという「答え」が、見えてくるのではないでしょうか。否定から始まるところには、何も生まれません。審査結果に「あれ?」と思ったら、まずは客観視すること。そして、今の自分の感覚は「美の基準」に合っていないということを受け入れること。大会に出て順位を取りに行くということは、本来自由であるはずの美醜の基準を他者に委ねるということですからね。それこそが、さらなる進化につながる唯一の道です。ここで進化するのはカラダだけではありません。あなたの人間力そのものが、進化します。人様からの貴重な意見に感謝して、それを受け入れる器。といったところで、今回はおひらき。最後になりましたが、本年もよろしくお願いいたします。Mitsuru Okabec1980年愛知県生まれ/東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学/日本体育大学大学院体育科学研究科修了/理学療法士/日本体育協会公認アスレティックトレーナー/現在は日本体育大学准教授/ボディビルダーとしても活躍しており、2016年日本社会人ボディビル選手権で優勝岡田隆(おかだたかし)Mitsuru Okabec