2年ぶりの開催となった日本男子ボディビル選手権。22歳の若さで。 うこと優勝した相澤隼人選手は、私が顧問を務める日体大バーベルクラブの一員です。これまで4年間、近くで成長を見守ってきたわけですが、そのなかで私は彼に対して感じ続けていたことがありました。「それ」が何なのか、ずっとうまく言葉に表せなかったのですが、日本のトップ獲りを果たしたことで確信しました。彼の強さは「自己評価力」にあるとい隼人(と、普段通りに呼ばせていただきます)に対して、私がポジティブな違和を初めて感じとったのは2018年のこと。当時大学1年生だった彼は、念願だった全日本学生選手権に初めて出場し、前年度覇者であり圧倒的な存在であった泉風雅くんを打ち破って、初優勝を飾りました。1年生で優勝というのは、学生選手権ではとんでもない快挙。18歳ですし、ちょっとくらい図に乗っても誰も何も言いません。実際の仕上がりも素晴らしかった。でも、私は顧問として、彼のさらなるを|2つのポジティブな違和感「自己評価力」についてミスター日本・相澤隼人が強い理由弱点を見つけ出し、更なる成長につなげる成長に向けていくつかの弱点を洗い出し、伝えるつもりでいました。(すでに私よりはるかに完成度が高かったのでおこがましいのですが)ところが、なかなか都合がつかず。大会後しばらくして、ようやく彼とゆっくり話ができる時間が作れたタイミングで伝えようとすると、隼人のほうから自発的に自分の弱点を分析し、来年以降に向けてどうしていこうと思っているかを話し始めたのです。しかも、弱点として挙げた内容は私が見ていたポイントと全く同じ……。図に乗るどころか、ものすごく冷静に、そして客観的に今の自分を受け止めて、未来に向けて歩み始めていました。その結果は、2年次の大会結果を見れば明らか。東京選手権で史上最年少優勝、日本クラス別70 kg級4位入賞、全日本学生選手権2連覇、そして日本選手権9位入賞。もうカラダも存在もデカくなりすぎて、私の手には負えないと悟った時期でもあります。柔道・阿部一二三に投げ方を教えても釈迦に説法でしかないのと同様、隼人に関してはメンタルや思考のサKINNIKUGAKUMitsuru Okabe©Mitsuru Okabe©08読んで役に立つ18、19年に感じ取ったバズーカ岡田の筋肉学 15
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