増量

競技にもよりますが、体重が多い方が有利なスポーツが多いです。そのことから、「増量」を目標にしているアスリート(特に学生アスリート)は非常に多いと思います。
では、体重を増やすためにはとにかく食べる量を増やせばいいのでしょうか?

体重は大きく分けると体脂肪量と除脂肪量に分類されます。
除脂肪量とは、体脂肪を除く体重のことですが、ほぼ筋肉量と同じと思っていただいていいと思います。普通アスリートが増やしたいのは、除脂肪量(筋肉量)のはずです。
「増えた体重が体脂肪か除脂肪量か。」これが非常に重要です。
増量するための方法は、シンプルです。使ったエネルギーよりも多くのエネルギーを摂れば良いのです。このエネルギー源を確保するために、まずはエネルギー源の主役となる糖質をしっかり摂ることがポイントです。もちろん、カラダを作る材料となるたんぱく質も重要ですが、糖質が足りていない状態でたんぱく質だけの摂取量を上げても、筋肉へは使われず、たんぱく質を燃やしてエネルギーを作り出そうとしてしまいます。
トレーニングの強度と時間にもよりますが、中~高強度の運動をするアスリートの場合だいたい体重1kgあたり5~8g程度の糖質が必要と言われています。
体重70㎏のアスリートなら350~560gの糖質を摂る必要がありますが、これを白米の量で換算すると、お茶碗約6~10杯分ほどの量になります。

食品に含まれる糖質の量 例

白米

白米(お茶碗)1杯55g
餅

お餅1ヶ25g
100%ジュース

100%ジュース1杯20g
バナナ

バナナ1本20g
さつま芋

さつま芋1本52g
おにぎり

オニギリ1ヶ35g
食パン

食パン(6枚切)1枚27g
うどん

うどん1玉52g
スパゲティ

スパゲティ1皿55g
また、摂った糖質を効率良くエネルギーに変えるビタミンB1の必要量も、糖質の摂取量が増えるに従って増やさなければいけません。
このように、必要に応じて糖質(場合によってはたんぱく質も)の摂取量を増やして摂取エネルギーを増やすことが増量の基本です。

次に、食事回数を増やすことも増量するには必要です。1日3食プラス間食が基本で、例えば朝食を抜いたりしてしまうと、必要量を残りの食事で取り戻すのは非常に難しいです。1食に無理に詰め込むのではなく、足りない分は間食を利用して、食事回数を増やしましょう。

お勧めのタイミングは、トレーニング前後と食事間の時間が長く空いてしまう時、そして就寝前です。特にトレーニングの前後には必ず摂りましょう。そうして1日5~6食を習慣づけて無理のないように食事量を増やしていきます。

食事では、調理法や食材を工夫することでエネルギーアップや栄養価を高くすることができます。増量というと、主食(ご飯やパン)の量を増やしがちですが、糖質を多く摂るためには「ダブル炭水化物」にすると良いです。例えば、汁物やうどんにおもちを加えたり、おかずに餃子やワンタン、春雨、ビーフン、芋などを使用するといった方法です。単にご飯やパンの量を増やすのではなく、主食以外にもおかずで糖質源である食品を加えます。また、汁物や麺類、炊き込みご飯はいつも具沢山にして品数が少なくても、栄養価が高くなるように工夫する。さらに、旬の食材は他の時期よりも栄養価が高いので積極的に利用することも大切です。こうした工夫が増量をサポートしてくれます。