運動により筋肉に負荷がかかると、筋肉は一時的に壊れます。しかし、人間のカラダには壊れた筋肉を修復する機能が備わっています。そのタイミングで適切な栄養と休養を取り入れることで、運動により壊れる前の筋肉よりも強い筋肉を再生することができるのです。
一生懸命トレーニングをしていても思うように成果が出ない場合は、栄養と休養が足りていないからかもしれません。
筋力アップに必要な栄養素は3大栄養素の1つである「たんぱく質」です。たんぱく質は筋肉をはじめ、血液や骨、皮膚、爪などカラダを構成するための材料でアスリートにとっては最も大切な栄養素と言っても過言ではありません。
では、トレーニングによって筋肉量を増やしたいアスリートは、どれぐらいのたんぱく質が必要なのでしょうか?
トレーニングの強度や頻度によっても左右されますが、だいたい体重1kgあたり2g程度のたんぱく質が必要と言われています。体重70kgのアスリートなら1日に約140gのたんぱく質を摂る必要があります。ちなみに、運動をしていない一般の方の必要量は、体重1kgあたり1g程度ですので、倍の量を摂らなければいけません。
たんぱく質150gの例
鮭1切れ80g |
サバ2切れ150g |
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鶏肉100g |
牛肉200g |
納豆1パック |
木綿豆腐1丁(約300g) |
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卵2個 |
ヨーグルト100g |
上記の通り、筋肉は休息するときに発達していきますので、練習の休息日でも十分なたんぱく質の摂取が必要です。長い間全くトレーニングをしないという時は別ですが、オフの日でも十分なたんぱく質摂取を意識してください。
しかし、注意点もあります。たんぱく質を多く含む食品には、同時に脂質も多く含んでいるケースが多いという点です。脂質も大切な栄養素ですが、必要以上に摂りすぎると体脂肪が増加してしまう恐れがあります。出来るだけ「低脂質高たんぱく」を意識してたんぱく質を摂りましょう。たんぱく質は、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などに多く含まれています。納豆や豆腐などの植物生蛋白質は低脂肪高たんぱくですし、肉類ではロースやばら肉は脂質が多いですがもも肉やヒレ肉などの赤身部分、鶏肉は比較的低脂肪です。これらを上手に組み合わせて工夫しましょう。
次に、たんぱく質を摂るタイミングにもポイントがあります。まずは、トレーニング直後の30分。この時間は筋肉アップのためのゴールデンタイムと言われており、成長ホルモンが活発に分泌されます。栄養が最も吸収されやすく、このタイミングで筋肉の材料を補給することにより筋肉の修復や再合成は急速に早まります。例で上げているような食品でも良いのですが、このタイミングでは出来るだけ早く消化吸収されるものを選ぶ方が効果的なので「プロテイン」で補給するのがお勧めです。
また、成長ホルモンは眠っている間にも分泌されます。十分な睡眠をきちんと確保し、就寝1~2時間前にもたんぱく質を補給できるとなお良いです。
上記のように、アスリートは一般の方よりもたんぱく質をたくさん摂る必要があり、その必要量を3食の食事でのみ補うのは大変です。そこで、間食やサプリメントを上手に利用して不足しないよう気をつけましょう。
たんぱく質(他の栄養素もそうですが)は、一度に吸収できる量には限度があります。残念ながら「食べ溜め」はできず、1食でドカ食いをしても使われなかった分は排出されます。これらを分解する際にカラダに負担をかける場合もあります。ポイントは3食の食事量は出来るだけ均等に、そして足りない分を適切なタイミングで補うことです。